Technique基本技術

  • HOME
  • 私のアップ基本技術と理論
長永会アップスタイル講習会
立体造形 髪を創る 世界
 

私のアップスタイル基本技術と理論

私が長年失敗を繰り返して、行き着いたアップの基本技術理論の一部です。講習会テキストから抜粋改変しています。ここでは最も重要な私の考え方をご紹介しました。全てをお見せできないのは残念ですが、講習会では、こんなに堅苦しくなく(笑)説明してます。

  • イヤー・ツー・イヤー

デザインの構成を考える上でブロッキングは大切な要素ですが、その最も基本になる物は、イヤーツーイヤーのパートです。

何を今さらと思う方が多いと思いますが、アップにおけるこのパートはカットのそれとは違う事を認識して下さい。人によってバラツキのあるこのパートを私の会では、統一した考え方で行っています。

まず、ゴールデンポイントの決め方は、あご先とギッシュ(もみ上げ)の内側のラインを結んだ延長線正中線と交わる点です。そこから耳の幅のちょうど真ん中の生え際の点(図のB点)と結んだ線をイヤーツーイヤーのパートラインの基本としています。デザインによっては図のA・Cの点が考えられます。

  • バックコームについて

バックコームは、アップスタイルを作る上で、最も重要な基本技術の一つです。この技術が正確に均等に出来る事が、アップスタイルのクオリティーを格段に上げる事になります。

バックコームには、ボリューム・面のつながり・方向性と言う3つの役割があるのですが、これらの役割を理解し、確実な技術のできる人が少なくなった今、バックコームをきちんと学ぶ事が、むやみやたらに、スプレーやファイバーワックス等に頼り切った技術をしなくなりますし、ピンも確実にとまるようになります。また、最小限のピンでアップを作る人はこのバックコームの技術が確実に出来る人です。

バックコームの技術で注意する事は

A・B・Cの点が一直線上にある事。
Cを支点に肘から腕をふる事。
D・Cを結ぶ点、つまり二の腕は決して動かさない事。
Cの点は90度より角度が広がらない事。
目の位置で必ず仕事をする事。
基本的に流したい方向に対して90度にパネルをスライスする。
コームの歯先半分を使うイメージでバックコームする事。

バックコームはパネルに平行にスライスラインに向かってコームを動かしますが、実際のバックコームの動き細長い楕円運動をしている為、図の赤い線の動きになり、根元にバックコームが入りません。それで、左図にあるように、実際のスライスラインの10cm下に仮想のスライスラインを想像し、そこに向かってバックコームしますと、右図の青い線の動きになり根元にバックコームが入ります。

バックコームにはショートストロークロングストロークがあり、密度の濃い、幅の狭い逆毛がほしい場合はショートストローク、大きな膨らみがほしい時や逆毛が立ちにくい時等はロングストロークを使うと言った具合に使い分けます。

また、フロント・サイド・ネープの生え際では、表面に逆毛が出ないように、コームの歯先を使ってパネルに対して円を描くようにバックコームします。これをローリングバックコームと言います。非常に重要なテクニックの1つです。

ここでは全てを詳細に説明できませんが、講習会では実際にいろいろな角度から説明し、実践の場での注意点なども含めて詳細に私のこの理論と技術を説明しています。
  • アップスタイルに適した髪を作る

アップに適した髪を作る事は、美しいアップスタイルを作る上で非常に重要な事です。

私の会では、写真のラッカー『髪を作る』基本としています。さらっとして適度なきしみがあり、スリークな面を作り易く、バックコームも非常にきき易くなります。

においが今風ではないため、好き嫌いがはっきりしているのですが、私は今でもこの触感が好きです。十分吹き付けてからブロー、または必要に応じてローラーで巻きます。

ただ最近は、以前に無かったテクスチャーを持った整髪料が出てきました。それがドライファイバーワックスです。

ラッカーを基本とした上でドライファイバーワックスを使うと短時間で理想の髪に作り上げる事ができます。ただ、つけ過ぎますとベタベタになるだけですので注意が必要です。ラッカーだけの使用で十分レッスンを行ってから使うと、どこに多く、どこに少なく、またはラッカーだけでよいとか作品によって使い分けができるようになります。

ドライファイバーワックスはあくまで、短時間で理想の髪を作らなければならないサロン等現場で威力を発揮する物です。

最初からワックスだけで仕事を覚えますと、バックコーム等の基本技術がおろそかなまま作品を作る癖が付いてしまい、後々伸び悩む事になりますので、私の会では当分の間はラッカーとヘアークリームだけでレッスンし、講師クラスになっても、講習会での使用は必要最低限にとどめています。